秋葉原へ。

 …先週末。職場の旅行で突然帝都に降り立った私はその夜ゲロ地獄に堕ちたのだった。
 
 翌朝。
 ほとんど寝付けずにずっとシンクとトイレを往復していた私は、8時前には全ての荷物を持ってチェックアウトした。正午まで歩き詰になるので珍しく朝食を取ろうかと思ったのだが、ホテルのレストランを見ると客席は道路やフロントから丸見えのガラス張りで落ち着いて食事ができる雰囲気ではなかったので却下。
 そのまま有楽町駅から山手線に乗り、秋葉原駅を目指す。後で気が付いたのだが、この2つの駅は直線距離でわずか3kmしか離れていない。だったらもう30分早くホテルを出て徒歩で向かえばよかったのだと本気で思った。まぁ常識的に考えれば電車なのだろうが。
 秋葉原駅で降り電気街出口を出たものの、まだ8時過ぎで営業している店舗など全く見当たらず人影もまばらだ。駅から街に消えていく人々は皆どうも出勤途中の店員と見える。その人々を追うようにして歩いていくと、ある路地で早速行列にぶつかった。寝袋を畳む途中の人が先頭にいるがほぼ全員が若い男性なので、萌えアイテムかエロゲの先着特典目当てだろうか。向こうにアソビットの看板が見えるので、この旧ソ連の食糧配給行列よろしく並ぶ人々を横目に見ながら通り過ぎる。
 それにしても、この路地の壁には何か見覚えがある。どんなランドマークだったろうか?歩きながら考えていて思い出した。そう、ここは加藤神が降り立って、最後に降伏した場所なのだ。

 血まみれになった加藤が刃物を手にしたまま警官の前に雌伏した、あの場面そのままの場所。その壁に沿うようにして、行列はイベントが始まるのをじっと待っていた。
 私はそこをそのまま通り抜け、営業が始まった店舗がないか探し続けた。
 2ブロックほどぐるぐると回ってみたが、どの店も営業開始は10時らしい。曇り空で酷く寒い。耐えられず表通りにあったミスドへ転がり込んで一番安い300円の朝セットをオーダ。2階の禁煙席に行くと、私と同じように営業開始を待っているとおぼしき客がぱらぱらと入っていた。そのままカフェオレをお替りしながら、以前緋漫さんから貰ったアキバマップを取り出して眺める。ezナビウォークと突き合わせて最低限回る店を決めて行こうと思ったのだが、実際のところ店名を見ても何を取り扱う店なのかよく理解していないのと、EZナビウォークのビル街での低劣な感度のため失敗。それでもマップのお陰で帰り道は判断できるので、後は目に付いた店に片っ端から入ってみることにしてミスドを出た。