それも教育か。

 昨日の夜2時頃、宿直の途中で機材用電池がどうしても必要になり、近くのコンビニに向かった。
 ブリットを停めたその隣に、後から軽ワゴンが入ってきた。ダッシュボードに白いチンチラのマットを敷き詰め、ルームミラーから変な造花のわっかをぶら下げたDQN臭い車。後部座席には兄弟と思しき子供たちが3人ほど乗っていて、運転していたのは若い母親だった。
 母親はくわえタバコをふかしながら運転席のドアを開けたがシートから降りる様子がない。よく見たら靴も何も履いていなかった。
 ルームマットもダッシュボードと同じ毛足の長い白のマットなので、土足禁止にしていて履物を履き直すのが面倒らしく、一番年上らしい男の子に何かを買って来るよう言いつけていた。男の子は「分かった!頼んでみる!」と元気に返事をして店へ入っていった。年の頃は中学生か小学校高学年くらいの幼さが抜けない顔立ちだ。
 私も後を追うように店へ入り商品を眺めていたが、しばらくしてレジの方が騒がしい事に気が付いた。もう目的の電池パックを手に取っていたのでそのままレジへ向かうと、騒動の元凶は先ほどの男の子だ。
 よりにもよって、店員にタバコを注文したのだ。親に頼まれたと言い訳しているが、そんな中高生の常套の言い訳にまともに取り合う店員など今時いるわけがない。店員の応対はしっかりしていて、タバコは大人にしか売れない規則になっているから、お母さんが来ているならレジまで来てもらってね…と言い聞かせるように説明している。
 だが男の子は突然逆ギレし出した。年齢がはるかに上の店員に向かって「お前なめてんだろ?おい?そこに親おんねんぞ?信用できんのか!」と喚いている。店長が一言「タバコはお客さんの顔を確認して売るのが規則なの。お母さん本人じゃないと売れないから、ゴメンね」と随分下手に出たのだが、男の子は「親に言われてでもないと買いに来るわけないやろ!常識で考えりゃ!」と捨て台詞を吐いて、レジ前のワゴンを派手に蹴飛ばして「ああーゴメンゴメン足引っかかったわ」と嫌がらせまでして出て行った。
 とんでもないDQNもいたものだと驚いたのもつかの間、私が会計後に店を出て親子のワゴン車に近付いていくと、母親があの男の子に毒づいていた。
 「はぁ?お前ふざけてんの?そのオッサンにここまで売りに来いって言えよボケ!アッタマ悪りーなオイ」
 男の子は…そのまま店に戻っていった。
 その後はどうしたか知らないが、DQNは確実に遺伝するとつくづく思った。