秘密の展望台。

 自分だけの秘密の展望台がある。
 秘密というか、余りに寂しい山の奥地で他に誰も来ないだけだ。
 以前は独りで考え事をしたい時は必ずここへ来ていたものだが、最近は近くの道路が通行止めになっていて入れなかった。
 夕方外出して、帰り道にふと立ち寄った。その場所は高台で周囲は木も少なくいつでも視界が開けていて、海岸線にへばりつくような我が田舎町が見下ろせる。
 しばらくぼんやりとしていたが、冷たい夜風が吹き始めると雲が一掃されて美しい夜空になった。
 三脚を立てて何枚か撮った。


 この田舎でひとつだけいいところを挙げるとすれば、やはり冬の星空か。