これが本当の仕事なのだろうか。

 来年予定していた新しい情報インフラ事業が否決された。一言で言ってしまえばうちのボスが必要性をトップに理解させられなかったからだが、今の状態ではきっと誰がやっても同じだったと思う。
 例外があれば去年までいた先輩だけだ。最もビジョンが見えていたのは先輩だったからだ。しかし先輩も今年の計画では頭を抱えていたし、後任として私も先任士官D君と一緒になって裁可してもらう方法を考えていたが非常に難しいと感じた。
 先輩曰く、根本の原因はボスが理念だけの説明に終始してしまい、実際にユーザとなる各組織への根回しを怠っているからだそうだ。
 誰も使うと言わないインフラにカネをかけると思うのかい?と、私自身も財務のトップに忠告された。
 時間的には、まだ少しだけ挽回の猶予があるらしい。何か打つ手を考えなければ…。