別の見方。

 夜残業していたら、当直していた別の先輩がふらっと現れた。雑談していて今日の話を出したところその先輩は言った。
 『お前、Aってどんな奴だったか覚えてるだろ』
 実は、A氏はちょっと妙な性癖があって、たまにトラブルを起こしては閑職に飛ばされることがある。人手不足もあって何年かするとまた戻ってくるのだが。かつて私と同じ職場にいた時もちょうどトラブルの真っ最中で、私が異動する少し前に、季節はずれの人事異動で出向させられていたのだった。
 『あそこの補佐さ、それで今の部下であるAがバカにされるのにものすごい神経尖らせてんだよ。Aだけじゃなくて、人事からAみたいなのを放り込まれてるあの課自体が舐められてるんじゃないかって。だって今あの課って中堅の半分がAみたいな奴で埋まってるじゃん』
 先輩曰く、総務課の看板を下げたケツの青いパソコンヲタクが指図しに行った事で、普段微妙な状態で保たれている課のプライドに傷を付けたのも要因ではないかと。
 私はさすがにそれは考え過ぎだと思うのだが、そんなこと聞かされた日にはもう向こうの課へ行けませんぜダンナ。