記憶色。

 8月から、市内の小中学校のネットワーク更新作業を実施中。
 ルータ等の設定は業者にお任せで、こちらは生徒用のPCをまとめて再設定。
 作業はともかく、この歳になって小中学校に再び足を踏み入れることになるとは…。
 夏休み中に大部分が終わるようスケジュールされた計画に間に合わせるべく職員室や教室を回りながら、自分の数十年前の日々を思い出す。
 …とは言っても時間は経ち過ぎて、今でも思い出せることはそんなに多くない。
 そのうち一つは最初に通った小学校の教室から見上げた夏のある日の青空。平野のど真ん中に建って地平線も見渡せたその学校から見上げた空には雲ひとつなく、目を凝らしていけばどこまでも見通せるような気がした。転校した次の小学校の授業で風景画を描いた時、その記憶の色で空を塗りつぶしたら担任の先生に「こんな青い空はありません!」と叱られたのだった。
 社会人になり、最初は父親から借りたカメラ、その後は自分自身のカメラでずっと空を撮っているが、PLフィルタを掛けようが何をしようが、あの時の最高に綺麗な青空を撮ることは未だにできていない。

 その後一時期通った中学校には大きな螺旋階段があって、そこで同級生とよく鬼ごっこをしていたものだった。今回っている幾つかの学校にも、建築物としての効率や使いやすさをある意味で無視したそういう造作はちゃんとある。
 もしかすると気の利いた設計士は、通った子どもたちの記憶に残るようあえてそういう特異な構造を造り付けているのかも。なぜなら、自分の記憶にある「校舎」とは、やはりあの螺旋階段のある中学校だからだ。
 
 ある小学校の図書館で「まんがサイエンス」が全巻揃っているのを見た。
 わかっているじゃないか。