集める努力。
少し前の飲み会の帰り、Z君と職場近くのサークルKに立ち寄った際に初めてそれを見つけた。
「おーいお茶」のペットボトルにぶら下がる、平沢唯のミニフィギュア。
こ、これは…。
買うかどうか数秒の葛藤があったが、深夜でもありオーナーの男性が一人いるだけで、酔って何もわからなくなっている風を装えるという体面の良さもあって、素知らぬ顔をして1本購入。
帰宅して妻に隠れて見てみるとなかなか良い出来。
どうやら6種類あるようだが、コンビニで買うからには丁度ボトルを取った時に何が出てくるかは運ということだ。
翌日、偶然仕事で外出することになり、市内のコンビニをひととおり見て回ることができた。どうも市内でフィギュア付きペットボトルを扱っているのは2店舗だけ。しかも、そのうち1店舗は残数が少ない。
大人買いすべきか?さすがに人目が気になる。日中はバイトの女の子も多く、フィギュアをぶら下げたペットボトルばかり抱えてレジに行けば(バックヤードで)何を言われるか分かったものではない。
となるとやはり深夜か。
あまり日を置けば全て売り切れという可能性もある。
最初のまとめ買いを決行したのは翌日の夜。残業が遅くなったため偶然ちょうどよい時刻にサークルKに入ることになった。
飲料コーナーを見ると、よかったまだ10本近く残っている。しかし10本全部買ったとして、ダブるのはどうしたものか。
それにお茶ばかり10本買って買えれば妻の目に止まってしまう。
『何それ。おーいお茶ばかり買い込んでどうすんの?家でお茶沸かしてるのに』
確実に怪しまれる。ブリットの中で1〜2本は飲んでしまえるがそれ以上は持ち帰りになる。仕方ない、2本だけにしておこう…。
しかしその時取り出し口にあったのは、既に持っている平沢唯。後ろには澪と梓が見えている。こういう場合、後のを先に取るのはマナー違反に思われて躊躇する。
店員さんの目もあるしな…とレジを振り返ると、ちょうど店員は棚出しで席を外したところだった。
すまぬすまぬと心で詫びながら、手はしっかりと後ろの2本を掴んでいた。
もちろんお茶だけではどうにも格好がつかないので、別に空腹でもないのにおにぎりを2つ。2つなのはもちろん「いやいや、残業してる同僚に差し入れでも…」という風を装うためだ。
我ながら無駄な努力だと思う。
翌日の昼休み、また別のコンビニに立ち寄るチャンスがあった。ちょうどお盆休み期間で、この田舎のコンビニも帰省客で大変な混雑だ。この衆人環視の中で、あえてフィギュア付きボトルを凝視するのは大変な精神的ストレスである…。
今度は律と紬が既に取り出し口に並んでいる。今回も素知らぬ顔をして、あえて紅茶やコーヒー、おにぎりに混ぜて購入。もちろん昼休みに同僚の分も買いだしt(ry
全て揃えるのに1週間を要した。その翌日には、最後の在庫を持っていた店からも全て商品はなくなっていた。
何だか、本当に無駄な努力だったように思う。