澄んだ空。

 美しい夕方の空だった。真上を見上げれば人間の目にすら何千キロも見通せるほど空は遠く青く、視線を夕日に転じれば何もかもがオレンジ色に輝いていた。
 こういう時、カメラを取り出してシャッターを切りたくなるのだけど、ファインダーをのぞいている間に眼に見える光景はどうしても「より美しく見たい」と欲を張った景色ではないか。そうやって撮った写真は、結局自分の眼に焼きついた光景の美しさは及ばない事が多い。
 ブリットの暖気が終わるまでの少しの間、広い駐車場の真中でぼんやりと陽が落ちるのを眺めていた。