パチパチパチ、

 何だかもにょる知人がいる。
 昔からよくパチンコ・パチスロ(違いはよく分からないが)が大好きで、休みがあればパチ屋に通っているような人物だ。
 私はパチが嫌いなので…ていうかなぜ存在するのか不思議でならないくらいなのだが、彼が休みの日に一緒に行かないかとよく誘われた事があった。
 去年だったか、給料日の翌日にパチ屋に行き、その全額を1日で失ったと言う事で借金を申し込まれた事があった。当時彼は車の部品をローンで買ったばかりなのに、知り合いから借金してまでパチ屋に入り浸るその神経が理解できなくて、ほぼ絶縁状態になっていた。(そんな理由に納得して金貸す奴いると本気で思っているのだろうか?)
 早朝、その知人から久しぶりにメールが来ていた。内容は…読まずとも凡そ予想できるものだった。だが内容が一層馬鹿げてきている。
 何かのローンを返すためにチワワ金融から借金したのを返すために母親から借りた20万をパチに使ってしまい、それを埋めるのに玄人失敗金融から20万借りたが、以前からあった別のローンの前倒し返済に使ってしまった。母親に金曜日までに20万を返さないといけないのだが、貸してもらえないだろうか?
 内容としてはこれだけだが、自分は悪くない、状況の悪化や自分以外の何かが原因なのだいう彼の思考が強く滲み出る文面だった。
 …。
 ……………。
 ………。
 いいから母親に延滞申し込めよ。それよりアンタもう32歳じゃなくて?
 メールはそのまま物理削除と相成った。

 日本の減勢の原因の一部は、パチ屋にあるんじゃないのか。不労所得の可能性という甘い誘いでバブル以前に構築された市民の資産を吸い上げていく。その金は一体どこへ消えているんだろうか。
 日本の一般会計の総額は82兆1829億円(平成17年度予算−経済産業省サイトより)。これに対し、パチンコ・パチスロ産業については約27.8兆円規模であるという数字がある。国家予算の33%に値するカネが、このあたりでブンブン飛び回っているわけだ。
 何かの産業が拡大するのは別に構わない。業界に従業する人々の収入が増え購買力が増強することで、国内において消費が活況を呈するのだから好ましいことだ。
 そしてその産業で生み出される資源は、例えば食品業界であれば国民の空腹を様々な形で満たし、自動車業界であれば国民の生活形態に適した様々な交通手段を提供できる。各種サービス業界では国民生活上の様々な不便を解消し、時間や労力を節約できる。当然の事だが、産業を構成する側と利用する側双方でカネとサービスというトレードが成り立つ。見方を変えれば産業というのはカネとモノのコンバータである。
 ではパチンコ・パチスロ産業は利用者に対してカネと何を変換してくれるのだろうか…。